商法 >> 第二編 商行為 >> 第四章 匿名組合
(貸借対照表の閲覧等並びに業務及び財産状況に関する検査)第五百三十九条1 匿名組合員は、営業年度の終了時において、営業者の営業時間内に、次に掲げる請求をし、又は営業者の業務及び財産の状況を検査することができる。一 営業者の貸借対照表が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求二 営業者の貸借対照表が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもので法務省令で定めるものをいう。)をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求2 匿名組合員は、重要な事由があるときは、いつでも、裁判所の許可を得て、営業者の業務及び財産の状況を検査することができる。3 前項の許可に係る事件は、営業者の営業所の所在地(営業所がない場合にあっては、営業者の住所地)を管轄する地方裁判所が管轄する。
解説
本条の趣旨
匿名組合員は業務執行権・代表権を有しておりません(536条3項)。その代わりに、匿名組合員に営業者の業務・財産に対する監視権を認めております。
営業者の貸借対照表が電磁的記録をもって作成されているとき
電磁的記録(「法務省令で定めるもの」)とは、磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したものをいいます(商法施行規則9条1項)。簡単に言えば、CD-Rやハードディスクに保存したデータをいいます。
電磁的記録に記録された事項を表示する方法(「法務省令で定める方法」)とは、電磁的記録に記録された事項を紙面又は映像面に表示する方法です(商法施行規則9条2項)。具体的には、営業者の貸借対照表を、パソコンやタブレット端末(iPadなど)に映し出す方法や、紙にプリントアウトして提示する方法が考えられます。
試験対策の勉強のポイント
短答・択一式試験
司法試験(予備試験)、法科大学院入試、公認会計士試験、司法書士試験、行政書士試験等の法律資格試験での出題にそなえて、学習しておきたい内容はこちらです。
- 匿名組合員は、営業年度の終了時において、営業者の営業時間内に、営業者の貸借対照表の閲覧又は謄写を請求することができます。「匿名組合員は、いつでも、営業者の貸借対照表の閲覧又は謄写を請求することができる」という文章は間違いです。
- 匿名組合員は、営業年度の終了時において、営業者の営業時間内に、営業者の業務及び財産の状況を検査することができます。また、匿名組合員は、重要な事由があるときは、いつでも、裁判所の許可を得て、営業者の業務及び財産の状況を検査することができます。「匿名組合員は、いつでも、営業者の業務及び財産の状況を検査することができる」という文章は間違いです。
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