(住宅の新築工事の請負人の瑕疵担保責任の特例)第九十四条1 住宅を新築する建設工事の請負契約(以下「住宅新築請負契約」という。)においては、請負人は、注文者に引き渡した時から十年間、住宅のうち構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの(次条において「住宅の構造耐力上主要な部分等」という。)の瑕疵(構造耐力又は雨水の浸入に影響のないものを除く。次条において同じ。)について、民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百三十四条第一項及び第二項前段に規定する担保の責任を負う。2 前項の規定に反する特約で注文者に不利なものは、無効とする。3 第一項の場合における民法第六百三十八条第二項の規定の適用については、同項中「前項」とあるのは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律第九十四条第一項」とする。
解説
本条の趣旨
民法よりも瑕疵担保責任を強化しています。
住宅とは
住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)において、「住宅」とは、人の居住の用に供する家屋又は家屋の部分(人の居住の用以外の用に供する家屋の部分との共用に供する部分を含む。)をいいます(住宅の品質確保の促進等に関する法律2条1項)。
住宅の構造耐力上主要な部分等
「住宅のうち構造耐力上主要な部分(として政令で定めるもの)」と「住宅のうち雨水の浸入を防止する部分(として政令で定めるもの)」を合わせて、「住宅の構造耐力上主要な部分等」といいます。「住宅の構造耐力上主要な部分等」は、「住宅の基本構造部分」ともいわれます。
住宅のうち構造耐力上主要な部分
「住宅のうち構造耐力上主要な部分」とは、耐震性や耐久性などにとって重要な部分である基礎・柱等をいいます。
94条1項の「住宅のうち構造耐力上主要な部分として政令で定めるもの」は、具体的に下記のものです(住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令5条1項)。
住宅の基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するものをいう。)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するものをいう。)で、当該住宅の自重若しくは積載荷重、積雪、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるもの
これは、建築基準法施⾏令1条1項3号と同様の内容です。
住宅のうち雨水の浸入を防止する部分
「雨水の浸入を防止する部分」とは、雨漏り対策のために措置されている部分の屋根や外壁などをいいます。
94条1項の「住宅のうち雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるもの」は、次の2つです(住宅の品質確保の促進等に関する法律施行令5条2項)。
一 住宅の屋根若しくは外壁又はこれらの開口部に設ける戸、わくその他の建具二 雨水を排除するため住宅に設ける排水管のうち、当該住宅の屋根若しくは外壁の内部又は屋内にある部分
瑕疵担保責任
瑕疵とは
「瑕疵」とは、一般的にキズや欠点、欠陥のことをいいますが、法律上は「請負契約で定められた内容や建物として通常期待される性質ないし正常を備えていないこと」をいいます。
民法第634条第1項及び第2項前段に規定する担保の責任
- 仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる。ただし、瑕疵が重要でない場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない(民法634条1項)。
- 注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる(民法634条2項前段)。