条文
(趣旨)第一条この法律は、建物の所有を目的とする地上権及び土地の賃借権の存続期間、効力等並びに建物の賃貸借の契約の更新、効力等に関し特別の定めをするとともに、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。
解説
借地借家法の趣旨(目的)
借地借家法1条は、借地借家法の趣旨(目的)について述べている規定です。
借地借家法は次の事項について、特別の定めをしています。
- 建物の所有を目的とする地上権の存続期間、効力等
- 建物の所有を目的とする土地の賃借権の存続期間、効力等
- 建物の賃貸借の契約の更新、効力等
上記のほかに、借地借家法では、借地条件の変更等の裁判手続に関し必要な事項を定めています。
なお、建物の所有を目的とする地上権・土地の賃借権を「借地権」といいます(借地借家法2条)。
また、建物の賃貸借であっても、一時使用目的が明らかな場合は、借地借家法が適用されません(借地借家法40条)。
借地借家法の保護対象
借地借家法で保護される対象者は、次の通りです。
- 建物の所有を目的とする地上権を有する者(建物所有目的の地上権者)
- 建物の所有を目的とする土地の賃借権のを有する者(建物所有目的の土地の賃借権者)
- 建物の賃借人(一時使用目的が明らかな場合を除く)
借地借家法の保護方法
借地借家法による保護の方法は、次の通りです。
- 建物の所有を目的とする地上権の存続期間、効力等を確保する
- 建物の所有を目的とする土地の賃借権の存続期間、効力等を確保する
- 建物の賃貸借の契約の更新、効力等を確保する(一時使用目的が明らかな場合を除く)
借家権の意義
借家権とは、借地借家法(廃止前の借家法を含む。)が適用される建物の賃借権をいいます(国土交通省『不動産鑑定評価基準』)。
「借地権」と違い、借地借家法には「借家権」という文言は出てきません。
借地借家法が適用されない建物の賃貸借
一時使用目的であることが明らかな場合の建物の賃貸借については、借地借家法が適用されません(借地借家法40条)。
土地・建物の使用貸借
土地または建物の使用貸借は、賃貸借ではないため、借地借家法が適用されません。
賃貸借と使用貸借の違いですが、賃貸借は賃料の支払いを伴う有償契約であるのに対し、使用貸借は賃料の支払いを伴わない無償契約です。