商法第538条(利益の配当の制限)の解説

商法 >> 第二編 商行為 >> 第四章 匿名組合
(利益の配当の制限)
第五百三十八条
出資が損失によって減少したときは、その損失をてん補した後でなければ、匿名組合員は、利益の配当を請求することができない。

解説

特約による排除

特約によって、損失が発生した場合でも匿名組合員に対して損失分配しない(匿名組合員の出資を計算上減少させない)ことは可能であると解されています。ただし、税務上は、特約について経済合理性のある説明ができない場合には、営業者から匿名組合員への寄附金(金銭その他の資産又は経済的利益の贈与又は無償の供与)であると判断され、寄附金に関する損金不算入規定が適用される可能性があります。

なお、匿名組合員への利益分配を特約によって排除することはできません。なぜなら、匿名組合員への利益分配を約することが、匿名組合契約の効力発生要件だからです(商法535条)。

損失負担額の上限

匿名組合員は、特約がない限り、出資額を超えて損失を負担する必要はありません(有限責任)。


試験対策の勉強のポイント

短答・択一式試験

司法試験(予備試験)、法科大学院入試、公認会計士試験、司法書士試験、行政書士試験等の法律資格試験での出題にそなえて、学習しておきたい内容はこちらです。

  • 出資が損失によって減少したときは、その損失をてん補した後でなければ、匿名組合員は、利益の配当を請求することができません。「匿名組合員は、いつでも、利益の配当を請求することができる」という文章は間違いです。

(最終更新日:2018年6月3日)


次の条文:商法第539条(貸借対照表の閲覧等並びに業務及び財産状況に関する検査)


前の条文:商法第537条(自己の氏名等の使用を許諾した匿名組合員の責任)


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