借地借家法第3条(借地権の存続期間)の解説

条文

借地借家法 >> 第二章 借地 >> 第一節 借地権の存続期間等

(借地権の存続期間)
第三条
借地権の存続期間は、三十年とする。ただし、契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。

趣旨

借地借家法3条の趣旨は、借地権の最初の存続期間を30年以上確保することで、借地権者(借地権を有する者)の権利の保護を図ることです。

建物所有目的で土地を借りているにもかかわらず、借地権の存続期間が短いとなると、土地の借主は早期に建物を取り壊す(解体する)等の不利益を被る恐れがあるため、借地権の最初の存続期間の最低限を定めました。

なお、借地契約更新後の存続期間については、4条で規定しています。

 

借地権の存続期間

借地権設定時の、借地権の最初の存続期間のルールは、借地権が設定された時期により異なります。

1992(平成4年)8月1日以降

借地借家法施行日(1992(平成4年)8月1日)以降に設定された借地権の最初の存続期間については、借地借家法3条の規定が適用されます。

この場合、借地権の最初の存続期間のルールは下記の通りです。

  • 借地契約で最初の存続期間を約定しなかった場合⇒30年
  • 借地契約で最初の存続期間を30年未満と約定した場合⇒30年(約定は無効)
  • 借地契約で最初の存続期間を30年以上と約定した場合⇒約定通りの存続期間(約定は有効

1992(平成4年)7月31日以前

借地借家法施行日の前(1992(平成4年)7月31日以前)に設定された借地権の最初の存続期間については、旧借地法2条、3条の規定が適用されます(借地借家法附則6条)。

つまり、借地借家法ではなく、旧借地法のルールが適用されることになります。

借地法
第二条
1 借地権ノ存続期間ハ石造、土造、煉瓦造又ハ之ニ類スル堅固ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ六十年、其ノ他ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ三十年トス 但シ建物カ此ノ期間満了前朽廃シタルトキハ借地権ハ之ニ因リテ消滅ス
2 契約ヲ以テ堅固ノ建物ニ付三十年以上、其ノ他ノ建物ニ付二十年以上ノ存続期間ヲ定メタルトキハ借地権ハ前項ノ規定ニ拘ラス其ノ期間ノ満了ニ因リテ消滅ス

 

第三条
契約ヲ以テ借地権ヲ設定スル場合ニ於テ建物ノ種類及構造ヲ定メサルトキハ借地権ハ堅固ノ建物以外ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノト看做ス
借地借家法附則
(借地契約の更新に関する経過措置)
第六条
この法律の施行前に設定された借地権に係る契約の更新に関しては、なお従前の例による。

 

旧借地法のルールを適用する場合、借地権の最初の存続期間については、堅固建物所有目的とその他の建物所有目的(非堅固建物所有目的)に分けた上で、次の通りの期間となります。

堅固建物所有目的

  • 借地契約で最初の存続期間を約定しなかった場合⇒60年
  • 借地契約で最初の存続期間を30年未満と約定した場合⇒60年(約定は無効)
  • 借地契約で最初の存続期間を30年以上と約定した場合⇒約定通りの存続期間(約定は有効

その他の建物所有目的(非堅固建物所有目的)

  • 借地契約で最初の存続期間を約定しなかった場合⇒30年
  • 借地契約で最初の存続期間を20年未満と約定した場合⇒30年(約定は無効)
  • 借地契約で最初の存続期間を20年以上と約定した場合⇒約定通りの存続期間(約定は有効

 

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