商法第16条(営業譲渡人の競業の禁止)の解説




商法 >> 第一編 総則 >> 第四章 商号
(営業譲渡人の競業の禁止)
第十六条
1 営業を譲渡した商人(以下この章において「譲渡人」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区又は総合区。以下同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その営業を譲渡した日から二十年間は、同一の営業を行ってはならない。
2 譲渡人が同一の営業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その営業を譲渡した日から三十年の期間内に限り、その効力を有する。
3 前二項の規定にかかわらず、譲渡人は、不正の競争の目的をもって同一の営業を行ってはならない。

解説

営業譲渡とは

営業譲渡(営業譲渡契約)とは、一定の営業目的のため組織化され有機的一体として機能する財産(得意先関係等の経済的価値ある事実関係を含む)の全部または重要な一部を譲渡する債権契約です。

趣旨

営業を譲渡した個人商人の競業避止義務に関する規定です。

競業避止義務の趣旨は、営業譲渡の実効性を確保することにあります。

また、譲渡人の営業の自由との調整にも配慮して、競業避止義務の範囲を場所的・時間的に限定しています。

競業避止義務

譲渡人は、同一の市町村(特別区を含むものとし、政令指定都市にあっては、区または総合区)の区域内および隣接市町村の区域内においては、その営業を譲渡した日から二十年間は、同一の営業を行ってはなりません(商法16条1項)。この義務は、当事者間の合意で加重・軽減することができます。

譲渡人が同一の営業を行わない旨の特約をした場合には、その特約は、その営業を譲渡した日から30年の期間内に限り、効力を有します(商法16条2項)。

特約の有無にかかわらず、また地域・期間を問わず、譲渡人は、不正の競争の目的をもって同一の営業を行ってはなりません(商法16条3項)。不正の競争の目的とは、営業譲渡の趣旨に反する目的という意味です。例えば、譲受人の得意先を奪おうとする行為です。

会社法の規定

会社の場合は、会社法21条に同様の規定が置かれています。


(最終更新日:2018年10月7日)






商法総則の条文解説一覧はこちらです。

第二編 商行為

第一章 総則

第501条(絶対的商行為)
第502条(営業的商行為)
第503条(附属的商行為)
第504条(商行為の代理)
第505条(商行為の委任)
第506条(商行為の委任による代理権の消滅事由の特例)
第507条(対話者間における契約の申込み)
第508条(隔地者間における契約の申込み)
第509条(契約の申込みを受けた者の諾否通知義務)
第510条(契約の申込みを受けた者の物品保管義務)
第511条(多数当事者間の債務の連帯)
第512条(報酬請求権)
第513条(利息請求権)
第514条(商事法定利率)
第515条(契約による質物の処分の禁止の適用除外)
第516条(債務の履行の場所)
第517条(指図債権等の証券の提示と履行遅滞)
第518条(有価証券喪失の場合の権利行使方法)
第519条(有価証券の譲渡方法及び善意取得)
第520条(取引時間)
第521条(商人間の留置権)
第522条(商事消滅時効)
第523条 削除

第二章 売買

第524条(売主による目的物の供託及び競売)
第525条(定期売買の履行遅滞による解除)
第526条(買主による目的物の検査及び通知)
第527条(買主による目的物の保管及び供託)
第528条

第三章 交互計算

第529条(交互計算)
第530条(商業証券に係る債権債務に関する特則)
第531条(交互計算の期間)
第532条(交互計算の承認)
第533条(残額についての利息請求権等)
第534条(交互計算の解除)

第四章 匿名組合

第535条(匿名組合契約)
第536条(匿名組合員の出資及び権利義務)
第537条(自己の氏名等の使用を許諾した匿名組合員の責任)
第538条(利益の配当の制限)
第539条(貸借対照表の閲覧等並びに業務及び財産状況に関する検査)
第540条(匿名組合契約の解除)
第541条(匿名組合契約の終了事由)
第542条(匿名組合契約の終了に伴う出資の価額の返還)

第五章 仲立営業

第543条(定義)
第544条(当事者のために給付を受けることの制限)
第545条(見本保管義務)
第546条(結約書の交付義務等)
第547条(帳簿記載義務等)
第548条(当事者の氏名等を相手方に示さない場合)
第549条(当事者の氏名等を相手方に示さない場合)
第550条(仲立人の報酬)

第六章 問屋営業

第551条(定義)
第552条(問屋の権利義務)
第553条(問屋の担保責任)
第554条(問屋が委託者の指定した金額との差額を負担する場合の販売又は買入れの効力)
第555条(介入権)
第556条(問屋が買い入れた物品の供託及び競売)
第557条(代理商に関する規定の準用)
第558条(準問屋)

第七章 運送取扱営業

第559条(定義等)
第560条(運送取扱人の責任)
第561条(運送取扱人の報酬)
第562条(運送取扱人の留置権)
第563条(介入権)
第564条(物品運送に関する規定の準用)
第565条 削除
第566条 削除
第567条 削除
第568条 削除

第八章 運送営業

第一節 総則

第569条

第二節 物品運送

第570条(物品運送契約)
第571条(送り状の交付義務等)
第572条(危険物に関する通知義務)
第573条(運送賃)
第574条(運送人の留置権)
第575条(運送人の責任)
第576条(損害賠償の額)
第577条(高価品の特則)
第578条(複合運送人の責任)
第579条(相次運送人の権利義務)
第580条(荷送人による運送の中止等の請求)
第581条(荷受人の権利義務等)
第582条(運送品の供託及び競売)
第583条(運送品の供託及び競売)
第584条(運送人の責任の消滅)
第585条(運送人の責任の消滅)
第586条(運送人の債権の消滅時効)
第587条(運送人の不法行為責任)
第588条(運送人の被用者の不法行為責任)

第三節 旅客運送

第589条(旅客運送契約)
第590条(運送人の責任)
第591条(特約禁止)
第592条(引渡しを受けた手荷物に関する運送人の責任等)
第593条(引渡しを受けていない手荷物に関する運送人の責任等)
第594条(運送人の債権の消滅時効)

第九章 寄託

第一節 総則

第595条(受寄者の注意義務)
第596条(場屋営業者の責任)
第597条(高価品の特則)
第598条(場屋営業者の責任に係る債権の消滅時効)

第二節 倉庫営業

第599条(定義)
第600条(倉荷証券の交付義務)
第601条(倉荷証券の記載事項)
第602条(帳簿記載義務)
第603条(寄託物の分割請求)
第604条(倉荷証券の不実記載)
第605条(寄託物に関する処分)
第606条(倉荷証券の譲渡又は質入れ)
第607条(倉荷証券の引渡しの効力)
第608条(倉荷証券の再交付)
第609条(寄託物の点検等)
第610条(倉庫営業者の責任)
第611条(保管料等の支払時期)
第612条(寄託物の返還の制限)
第613条(倉荷証券が作成された場合における寄託物の返還請求)
第614条(倉荷証券を質入れした場合における寄託物の一部の返還請求)
第615条(寄託物の供託及び競売)
第616条(倉庫営業者の責任の消滅)
第617条(倉庫営業者の責任に係る債権の消滅時効)
第618条から第683条まで 削除


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